こんにちは!
この記事では、正準方程式をポアソン括弧を用いて書き換えます!
そして、ハミルトニアン\(H\)が時間微分と関係のある量であることを説明します。
早速内容に入りましょう!(^^)
正準方程式
\(N\)自由度系の正準方程式は、
\begin{align}
\dot{q}_i=\frac{\partial H}{\partial p_i},\quad\dot{p}_i=-\frac{\partial H}{\partial q_i}\quad(i=1,\dots,N) \tag{1}
\end{align}
で与えられます。
ポアソン括弧で正準方程式を書き換える
ポアソン括弧の定義はこちらの記事をご覧ください(^^)
さて、試しに、\(\{q_i,H\}\)を計算してみましょう:
\begin{align}
\{q_i,H\}
&=\sum_{k=1}^N\left(\frac{\partial q_i}{\partial q_k}\frac{\partial H}{\partial p_k}-\frac{\partial q_i}{\partial p_k}\frac{\partial H}{\partial q_k}\right)\\
&=\sum_{k=1}^N\delta_{ik}\frac{\partial H}{\partial p_k}\\
&=\frac{\partial H}{\partial p_i} \tag{2}
\end{align}
2つ目の等号では、\(\frac{\partial q_i}{\partial q_k}=\delta_{ik}\)と\(\frac{\partial q_i}{\partial p_k}=0\)を用いました。
正準理論では、\(q_i\)と\(p_i\)は独立であることに注意しましょう(^^)
(2)の右辺の形は、正準方程式(1)に現れています!
よって、
\begin{align}
\dot{q}_i=\frac{\partial H}{\partial p_i}=\{q_i,H\} \tag{3}
\end{align}
とかけます。
同様に、
\begin{align}
\{p_i,H\}
&=\sum_{k=1}^N\left(\frac{\partial p_i}{\partial q_k}\frac{\partial H}{\partial p_k}-\frac{\partial p_i}{\partial p_k}\frac{\partial H}{\partial q_k}\right)\\
&=-\sum_{k=1}^N\delta_{ik}\frac{\partial H}{\partial q_k}\\
&=-\frac{\partial H}{\partial q_i} \tag{4}
\end{align}
となるので、
\begin{align}
\dot{p}_i=-\frac{\partial H}{\partial q_i}=\{p_i,H\} \tag{5}
\end{align}
とかけます。
ここまでの議論をまとめると、正準方程式は、
\begin{align}
\dot{q}_i=\frac{\partial H}{\partial p_i}=\{q_i,H\} \tag{6}\\
\dot{p}_i=-\frac{\partial H}{\partial q_i}=\{p_i,H\} \tag{7}
\end{align}
とかけることがわかりました。
ある関数の時間微分は、ハミルトニアンとポアソン括弧を取ることと関係がありそうですね!
任意関数の時間微分
任意関数\(f(q,p,t)\)の時間微分を計算してみます:
\begin{align}
\dot{f}
&=\frac{df}{dt}\\
&=\sum_{i=1}^N\left(\frac{\partial f}{\partial q_i}\dot{q}_i+\frac{\partial f}{\partial p_i}\dot{p}_i\right)+\frac{\partial f}{\partial t}\\
&=\sum_{i=1}^N\left(\frac{\partial f}{\partial q_i}\frac{\partial H}{\partial p_i}-\frac{\partial f}{\partial p_i}\frac{\partial H}{\partial q_i}\right)+\frac{\partial f}{\partial t}\\
&=\{f,H\}+\frac{\partial f}{\partial t} \tag{8}
\end{align}
2つ目の等号では、時間依存性が\(q_i(t),\,p_i(t),t\)の3種類あることに注意して微分しました。
3つ目の等号では、正準方程式を用いました。
\(f(q,p,t)\)は保存量のとき、
\begin{align}
\dot{f}
=\frac{df}{dt}
=\{f,H\}+\frac{\partial f}{\partial t}=0 \tag{9}
\end{align}
となります。
特に、\(f\)に陽な時間依存性がない場合、つまり、
\begin{align}
\frac{\partial f}{\partial t}=0 \tag{10}
\end{align}
のとき、
\begin{align}
\{f,H\}=0 \tag{11}
\end{align}
となります。
すなわち、
時間に陽に依存しない関数\(f\)が保存量である ⇔ \(\{f,H\}=0\)
がわかります。
まとめ
この記事では、正準方程式をポアソン括弧を用いて書き換えました!
そして、任意関数の時間微分がハミルトニアンとポアソン括弧をとることと等価であり、特にその関数が保存量であり、時間に陽に依存しないならば、ハミルトニアンとポアソン括弧をつくるとゼロになることを示しました!
正準方程式
\begin{align}
\dot{q}_i=\frac{\partial H}{\partial p_i}=\{q_i,H\}\\
\dot{p}_i=-\frac{\partial H}{\partial q_i}=\{p_i,H\}
\end{align}
時間に陽に依存しない関数\(f\)が保存量である ⇔ \(\{f,H\}=0\)
それでは!