こんにちは!
この記事では、ニュートン力学においてガリレイ変換に対する不変性について議論します。
運動法則
まず、ニュートン力学における運動法則について復習します。
第一法則
力を測る基準系(慣性系)が存在し、慣性系において力が働いていない物体は静止または等速直線運動を続ける
第二法則
慣性系において、運動方程式\(\frac{d\boldsymbol{p}}{dt}=\boldsymbol{F}\)が従う
\(\boldsymbol{p}\)は運動量、\(\boldsymbol{F}\)は力である
第三法則(作用・反作用の法則)
2つの物体が相互作用するとき、それらに働く相互作用は大きさが等しく、反対向きである
ここで重要なことは、慣性系という理想的な座標系を選ぶことができて、慣性系において運動方程式が従うという点です。
ガリレイ変換
では、慣性系はいくつあるのでしょうか?
結論としては、ある慣性系に対して等速直線運動をしている別の座標系も慣性系となるので、慣性系は無限個あります。
これを説明します。
ある慣性系において、質量\(m=\)一定の質点が次の運動方程式に従っているとしましょう。
\begin{align}
m\frac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2}=\boldsymbol{F} \tag{1}
\end{align}
ここで、この慣性系で質点が位置\(\boldsymbol{r}\)にあるとし、運動量\(\boldsymbol{p}=m\frac{d\boldsymbol{r}}{dt}\)を用いました。
この慣性系に対して一定の速度\(\boldsymbol{u}\)で等速直線運動している系を考えます。
つまり、等速直線運動している系から質点をみると、位置
\begin{align}
\boldsymbol{r}’=\boldsymbol{r}-\boldsymbol{u}t \tag{2}
\end{align}
にあるように見えます。
ただし、時刻\(t=0\)で2つの座標系の原点が一致しているとしました。
このような座標系の変換をガリレイ変換といいます。
\(\boldsymbol{u}\)が定ベクトルであることに注意して、\(\boldsymbol{r}’\)を\(t\)で2階微分すると、
\begin{align}
\frac{d^2\boldsymbol{r}’}{dt^2}=\frac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2} \tag{3}
\end{align}
よって、等速直線運動している系においても、運動方程式
\begin{align}
m\frac{d^2\boldsymbol{r}’}{dt^2}=\boldsymbol{F} \tag{4}
\end{align}
が従います。
すなわち、この等速直線運動している系も慣性系となります。
ある慣性系に対して等速直線運動している系はすべて慣性系となる
これらの慣性系の間の一定の相対速度\(\boldsymbol{u}\)は任意なので、無限個の慣性系が存在することになります。
ガリレオの相対性原理
相対速度が一定の2つの慣性系の間で、運動方程式が変わらない、つまり、運動法則が変わらないことを示しました。
これをガリレオの相対性原理といいます。
ガリレオの相対性原理
ガリレイ変換によって結ばれるあらゆる慣性系において、運動法則は不変である