【解析力学】ラグランジアンには時間についての全微分項を加える任意性があること

解析力学

こんにちは!

この記事では、ラグランジアンに時間についての全微分項を加える任意性があることを説明します。

つまり、ラグランジアン\(L(q,\dot{q},t)\)と、それに時間についての全微分項を加えたラグランジアン

\begin{align}
\tilde{L}(q,\dot{q},t)\equiv L(q,\dot{q},t)+\frac{d}{dt}F(q,t)\quad(F(q,t):\text{任意関数})\tag{1}
\end{align}

は、同じEuler-Lagrange方程式を導きます。

早速内容に入りましょう!(^^)

ラグランジアンの任意性の証明

\(\tilde{L}(q,\dot{q},t)\)の作用を\(\tilde{S}[q]\)とすると、

\begin{align}
\tilde{S}[q]
&=\int^{t_2}_{t_1}dt\tilde{L}(q,\dot{q},t)\\
&=\int^{t_2}_{t_1}dt\left(L(q,\dot{q},t)+\frac{d}{dt}F(q,t)\right)\\
&=S[q]+F(q(t_2),t_2)-F(q(t_1),t_1) \tag{2}
\end{align}

となります。

両辺を\(q\)について変分すると、

\begin{align}
\delta\tilde{S}[q]=\delta S[q]+\delta F(q(t_2),t_2)-\delta F(q(t_1),t_1) \tag{3}
\end{align}

\(\delta q(t_1)=\delta q(t_2)=0\)なので、右辺の第2項、第3項は、それぞれゼロになります。

(最小作用の原理では、時間の端点における変分はゼロでした。詳しくはこちら(^^))

したがって、

\begin{align}
\delta\tilde{S}[q]=\delta S[q] \tag{4}
\end{align}

作用の変分が同じなので、それから導かれるEuler-Lagrange方程式も同じになります。

補足

2点だけ補足をしておきます。

特に2つ目は具体的な計算をする際に重要です!

  1. ラグランジアンが\((q,\dot{q},t)\)の関数なので、\(t\)についての全微分項として加わる任意関数は\(\dot{q}\)に依存しない形\(F(q,t)\)としました。
    これはある種の次元解析ですね。
  2. 全微分\(d/dt\)は、\(F(q(t),t)\)に含まれる\(q(t)\)の中の\(t\)依存性とあらわな\(t\)依存性をどちらも微分する演算子です。
    つまり、
    \begin{align}
    \frac{d}{dt}F(q(t),t)=\frac{\partial F(q,t)}{\partial q_i}\frac{dq_i(t)}{dt}+\frac{\partial F(q,t)}{\partial t} \tag{5}
    \end{align}
    となります。
    右辺第1項の左側は、もはや\(q(t)\)ではなく\(q\)という変数に関する偏微分です。
    例えば、\(F(q(t),t)=t^3q_i^2(t)\)の全微分は、
    \begin{align}
    \frac{d}{dt}F(q(t),t)=\frac{d}{dt}\left(t^3q_i^2(t)\right)=2t^3q_i(t)\dot{q}_i(t)+3t^2q_i^2 \tag{6}
    \end{align}
    となります。

まとめ

この記事では、ラグランジアンに時間についての全微分項を加えてもEuler-Lagrange方程式が変わらないことを示しました!

それでは!

タイトルとURLをコピーしました