【力学】運動の3法則~大学での力学のはじまり~

力学

こんにちは!

春から大学生になって、大学の物理の難しさに心が折れそうになっている方もいるのではないしょうか?

理学系学生がまず学ぶ物理の分野は、力学です。

物理学は積み重ねの学問なので、ここで良いスタートダッシュが切れるかどうかが、今後4年間の学びの充実に影響します!!

そこで、この記事では、力学に挫折しそうな(あるいはすでにしてしまった)学生に向けて、力学の出発点である「運動の3法則」について説明します!

これを理解した上で、具体的な問題(自由落下、単振動、もっと複雑な系)を解きましょう!

ぜひ最後まで目を通してみてください!

高校物理における運動の3法則

はじめに、高校物理における運動の3法則をまとめておきます。

第1法則(慣性の法則)
物体に外から力が働かない限り、物体は静止状態、あるいは等速直線運動をそのまま続ける

第2法則(運動方程式)
物体に外から力が働くと、力の大きさに比例し、物体の質量に反比例した加速度が、力の向きに生じる

第3法則(作用・反作用の法則)
物体間に働く力は常に大きさは等しく、逆向きである

第2法則は第1法則を内包している?

第2法則は運動方程式と呼ばれる、力学で最も重要な式のひとつを表しています。

\begin{align}
m\boldsymbol{a}=m\frac{d\boldsymbol{v}}{dt}=\boldsymbol{F}
\end{align}

ここで、\(m\):質量、\(\boldsymbol{v}\):速度、\(\boldsymbol{a}=\frac{d\boldsymbol{v}}{dt}\):加速度、\(\boldsymbol{F}\):外力です。

物体に外から力が働かない状況を考えてみましょう。

すなわち、\(\boldsymbol{F}=\boldsymbol{0}\)とします。

このとき、運動方程式は、

\begin{align}
\frac{d\boldsymbol{v}}{dt}=\boldsymbol{0}
\end{align}

となります。

これは速度\(\boldsymbol{v}\)が時間に依らないということなので、

\begin{align}
\boldsymbol{v}=\text{一定}
\end{align}

を意味します。

つまり、もともと速度がゼロであればずっとゼロのままですし、ゼロでなくてもそのまま同じ速度で運動し続けるということです。

これは第1法則のことでしたよね?

では、第2法則は第1法則を内包していて、「運動の3法則」は「運動の2法則」で十分なのでしょうか?

第1法則の再解釈

そこで、第1法則を再解釈しましょう!!

第1法則に現れる、「静止」や「等速」といった言葉は、その物体をみる「人」(これを座標系といいます)に依存する表現です。

ある人がみると物体が静止していても、その人に対して動いている人からみれば、その物体は動いて見えるはずです。そして、物体のそれらの状態は「力」によって決まります。

なので、「力を測る基準となる座標系をとることができる」という意味で、第1法則を再解釈します。

このような座標系のことを、慣性系といいます。

第3法則の帰結:運動量保存則

最後に第3法則について考えます。

上図のように、2つの物体が接している状況を考えましょう。

このとき、作用・反作用の法則から、運動方程式は、

\begin{align}
m_A\frac{d\boldsymbol{v}_A}{dt}&=\boldsymbol{F}\\
m_B\frac{d\boldsymbol{v}_B}{dt}&=-\boldsymbol{F}
\end{align}

となります。

これらの辺々を足し合わせてみましょう。すると、

\begin{align}
\frac{d}{dt}(m_A\boldsymbol{v}_A+m_B\boldsymbol{v}_B)=\boldsymbol{0}
\end{align}

ここで、各物体の運動量\(\boldsymbol{p}_i\equiv m_i\boldsymbol{v}_i\,(i=A,\,B)\)と、全運動量\(\boldsymbol{P}\equiv \sum_{i=A,B}\boldsymbol{p}_i\)を定義すると、

\begin{align}
\frac{d\boldsymbol{P}}{dt}=\boldsymbol{0}
\end{align}

とかけます。

これは全運動量が時間に依らないということなので、運動量保存則を表しています。

まとめ

第1法則を再解釈したあとの運動の3法則がこちらです!

第1法則(慣性系がとれること)
力を測る基準となる座標系(慣性系)をとることができる

第2法則(運動方程式)
物体に外から力が働くと、力の大きさに比例し、物体の質量に反比例した加速度が、力の向きに生じる

第3法則(作用・反作用の法則)
物体間に働く力は常に大きさは等しく、逆向きである

これは力学の出発点になるものなので、理解できるまで復習しましょう!(^^)

それでは!

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