こんにちは!
この記事では、ネーターの定理の証明をします。
ネーターの定理は解析力学に限らず、場の理論や弦理論においても重要な概念です。
ここでしっかりマスターしておきましょう(^^)
ネーターの定理
ネーターの定理
力学変数の微小変換
\begin{align}
q_i\to q_i’=q_i+\epsilon^A f^A_i(q,t)\quad(|\epsilon^A|\ll1) \tag{1}
\end{align}
に対して、ラグランジアンが時間についての全微分項を除いて不変であるとする:
\begin{align}
L(q’,\dot{q}’,t)=L(q,\dot{q},t)+\epsilon^A\frac{d}{dt}F^A(q,t) \tag{2}
\end{align}
このとき、ネーター・チャージ
\begin{align}
Q^A=\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}f^A_i-F^A \tag{3}
\end{align}
は保存する。
少し補足します。
- \(A\)は変換の種類を区別する添字です。
- \(\epsilon^A\)は変換の大きさを与える、定数の微小変換パラメータです。
- \(f^A_i(q,t)\)はどのような変換かを定義する量です。
ネーターの定理を言葉で説明すると、
ある微小変換に対して系が対称性をもつならば、それに対応した保存量がある
ということです。
ラグランジアンに時間についての全微分項を加える任意性があることは、こちらの記事で詳しく説明しています(^^)
ネーターの定理の証明
ネーターの定理を示しましょう。
\begin{align}
\epsilon^A\frac{dQ^A}{dt}
&=\epsilon^A\frac{d}{dt}\left(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}f^A_i-F^A\right)\\
&=\epsilon^A\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}f^A_i+\epsilon^A\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\dot{f}^A_i-\epsilon^A\frac{dF^A}{dt} \tag{4}
\end{align}
ここで、\(\epsilon^A\)についてのテイラー展開により、
\begin{align}
\epsilon^A\frac{dF^A}{dt}=L(q’,\dot{q}’,t)-L(q,\dot{q},t)\simeq\frac{\partial L}{\partial q_i}\epsilon^Af^A_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\epsilon^A\dot{f}^A_i \tag{5}
\end{align}
となります。
これを(4)に代入すると、
\begin{align}
\epsilon^A\frac{dQ^A}{dt}
&=\epsilon^A\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}f^A_i+\epsilon^A\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\dot{f}^A_i-\left(\frac{\partial L}{\partial q_i}\epsilon^Af^A_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\epsilon^A\dot{f}^A_i\right)\\
&=\epsilon^A\left(\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}-\frac{\partial L}{\partial q_i}\right)f^A_i\\
&=0 \tag{6}
\end{align}
最後の等号では、Euler-Lagrange方程式を用いました。
\(\epsilon^A\)は任意なので、
\begin{align}
\frac{dQ^A}{dt}=0 \tag{7}
\end{align}
が導かれます。
これで、ネーター・チャージ\(Q\)が保存することが示されました。
まとめ
この記事では、ネーターの定理の証明を行いました!
解析力学ではじめて出てくるネーターの定理は、場の理論や弦理論など分野に行っても重要な定理になっているので、ここでしっかり押さえておきましょう!!(^^)
それでは!