こんにちは!
この記事では、量子力学の基本方程式であるSchrödinger方程式を導入します!
Schrödinger方程式
Schrödinger方程式
\begin{align}
i\hbar\frac{\partial\psi(\boldsymbol{r},t)}{\partial t}=\hat{H}\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{1}
\end{align}
ここで、\(\psi(\boldsymbol{r},t)\)は波動関数、\(\hat{H}\)はハミルトニアンです。
Schrödinger方程式の導出
これからSchrödinger方程式を導出します。
一般に、角振動数\(\omega\)、波数\(\boldsymbol{k}\)、振幅\(a\)の平面波は、
\begin{align}
\psi(\boldsymbol{r},t)=a\exp[i(\boldsymbol{k}\cdot\boldsymbol{r}-\omega t)] \tag{2}
\end{align}
と表されます。
電子などのミクロな対象は粒子としての性質だけでなく、波の性質も合わせもつので、この平面波の式をもとにしてみましょう。
粒子的な物理量と波動的な物理量を結びつける、次のエネルギーと運動量の関係式
\begin{align}
E=\hbar\omega,\quad \boldsymbol{p}=\hbar\boldsymbol{k} \tag{3}
\end{align}
および、非相対論的なエネルギーの式
\begin{align}
E=\frac{\boldsymbol{p}^2}{2m} \tag{4}
\end{align}
を平面波の式に代入してみます。
すると、
\begin{align}
\psi(\boldsymbol{r},t)=a\exp[i(\boldsymbol{p}\cdot\boldsymbol{r}/\hbar-\boldsymbol{p}^2t/(2m\hbar))] \tag{5}
\end{align}
となります。
これを\(t\)で偏微分すると、
\begin{align}
i\hbar\frac{\partial\psi(\boldsymbol{r},t)}{\partial t}=\frac{\boldsymbol{p}^2}{2m}\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{6}
\end{align}
となり、一方で、ラプラシアンを作用させる(\(\boldsymbol{r}\)で偏微分する)と、
\begin{align}
-\frac{\hbar^2}{2m}\Delta\psi(\boldsymbol{r},t)=\frac{\boldsymbol{p}^2}{2m}\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{7}
\end{align}
となります。
これらの右辺が等しいので、\(\psi\)は、
\begin{align}
i\hbar\frac{\partial\psi(\boldsymbol{r},t)}{\partial t}=-\frac{\hbar^2}{2m}\Delta\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{8}
\end{align}
という微分方程式を満たすことがわかります。
ここで、自由粒子の古典的ハミルトニアンが、
\begin{align}
H=\frac{\boldsymbol{p}^2}{2m} \tag{9}
\end{align}
であったことを思い出すと、(8)の右辺は、運動量\(\boldsymbol{p}\)を
\begin{align}
\boldsymbol{p}\to-i\hbar\nabla \tag{10}
\end{align}
と置き換えたものになっています。
この置き換えをしたあとのハミルトニアンを\(\hat{H}\)とかきましょう:
\begin{align}
\hat{H}=-\frac{\hbar^2}{2m}\Delta \tag{10}
\end{align}
よって、Schrödinger方程式
\begin{align}
i\hbar\frac{\partial\psi(\boldsymbol{r},t)}{\partial t}=\hat{H}\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{11}
\end{align}
が得られます。
相互作用がある場合
ポテンシャル\(V(\boldsymbol{r})\)中に粒子があるとき、古典的ハミルトニアンは、
\begin{align}
H=\frac{\boldsymbol{p}^2}{2m}+V(\boldsymbol{r}) \tag{12}
\end{align}
と修正されるので、\(\hat{H}\)も
\begin{align}
\hat{H}=-\frac{\hbar^2}{2m}\Delta+V(\boldsymbol{r}) \tag{13}
\end{align}
と修正します。
こうして、相互作用のある場合のSchrödinger方程式は、(13)のハミルトニアンを用いて、
\begin{align}
i\hbar\frac{\partial\psi(\boldsymbol{r},t)}{\partial t}=\hat{H}\psi(\boldsymbol{r},t) \tag{14}
\end{align}
となります。